美しい世界の手仕事プロジェクト

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あたふた気分をしずめたく、季節の句などを少々。

  初冬の徐々と来木々に人に町に(星野立子)
 
  水霜のかげろふとなる今日の菊(宮沢賢治)

  秋風や甲羅をあます膳の蟹(芥川龍之介)

星野立子さんの俳句が好きです。普通の光景をしなやかに切り取る句には、銀塩写真の味わいがあります。デジタルじゃないんです。今では、「古き良き」となってしまったのかもしれない。変化の速度に戸惑うくらいの日々、星野さんの句にいっときのゆっくりした空気を愉しみます。

宮沢賢治、芥川龍之介、夏目漱石、寺山修司など、作家の方々も俳句を作りました。言葉の表現方法、多彩ですね。

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(「日本の方染」/文化学園服飾博物館)

さて本題です。型染の展覧会(文化学園服飾博物館)、見ました。デザインの優美さ、大胆さ、可憐さ、多彩さ、、見応えありました。

「型染は、紙や木などの型を用いて文様を表現する染色技法の一つです。日本では古くから行われ、着物をはじめ、公家服飾、武家服飾、芸能衣裳など多くの服飾に型染が見られます。日本の型染は、主として文様を彫り透かした型紙を用い、種々の染色技法が施されています。型染の種類は実に多様であり、日本の豊かな染織文化の一端が示されています」(展覧会解説より)

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(展覧会チラシより)

「元来、型染は型を用いることによって同じ文様の染色品を量産する技法です。このため、型染には手描きによる自由な文様とは異なり、省略やデフォルメされた文様とパターンの繰り返しなどが見られます。型の使用という制約こそが型染の特徴であり、そこには整然とした文様や反復の諧調など、型染特有の美を見出すことができます。本展では 小 紋・ 中 形・ 型 友 禅・ 摺 染・ 摺 箔・ 板 締・ 燻 革などさまざまな型染の服飾を出品し、日本における型染の多様性と、型染ならではの美しさを紹介いたします」(同)

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(展覧会チラシより)

たとえば、 地色にしか見えないほどの細密な小紋はやさしい色合い。けれども生地から伝わる圧倒的な手間ひま、かけられた時間、そのことに気圧されるようです。美を持って制すということでしょうか。戦のなかった江戸時代ですが、武士の衣装などは、見ただけで負けた、と思わせるようなものもありました。

また、 型の緻密さと、型を作るための道具を作る技術、型を押す技術にも圧倒されました。日本の染織は素晴らしいですね。

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(「縞と格子 ー織りから生まれた直線のデザインー」/岩立フォークテキスタイルミュージアム/チラシ写真の衣装は「男性用長衣装/インド」>

こちら「縞と格子 ー織りから生まれた直線のデザインー」はまだ見ていないのですが、ぜひ行かねば。

南インドの格子サリー、両端の縞の美しいパトラサリー、縞の長衣やマシュルーのスカート、山の民が巻き付けたパトゥ、トルクメンのショール、アフリカのケンテクロス、プレインカの縞のコカ袋などが展示されているそうです。岩立フォークテキスタイルミュージアムにて。2011年2月19日まで(期間中/木・金・土曜日開館)。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2010海洋アジア展示より)

エスニカさん大健闘により「世界の手仕事」WEBも、少しづつリニューアルオープンの装い。またご案内しますね。
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by kizashinoj | 2010-11-29 23:52 | ミュージアム・展示会
この人がブログを書いてくれたらなあ、と思う知り合いや友人はいらっしゃいませんか。そういう人から「ブログ、始めました」の案内が来たら、、うれしくなってしまいますよね。

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(陶巡りから/「河井寛次郎—生誕120年記念展」/日本民芸館)

リンクさせていただいているMさんの「おりおりの記」は、Jにとってそんなブログ。
「教養」という言葉、今では古い印象さえもたれかねない言葉ですが、やはり大事だと思う概念です。そして教養や知性の力を感じるのがMさんのブログです。

織る方であり、いつもサクサクと手仕事を仕上げます。それだけでもJにとっては尊敬の対象なのに、同時に数字にも理科系にも強く、さらに大変な読書家。とくに古典に強いのが素晴らしい。「格調」というのは美しいものなんだなあと、凡人のJは感心するのです。

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(陶巡りから/「茶陶の道 天目と呉州赤絵」出光美術館) 

もうお一人は、最近スタートしたブログを怒濤の勢いで進めているTさん。「My Favorite Rugs and Kilims 好きなもの ずうっとながめていたいもの」。伝わってきます、好きなことが、大好きなことが!
「ずうっと見ていると、身体の内部にぽっと灯がともって、体温が上昇してくる感じ」、、これぞブログ。好きな人でしか書けない表現や切り口に、とても触発されます。

トライバルラグやキリムって、部族名や技法がいろいろあって難しい印象があるのですが、Tさんの文章は簡明でわかりやすく、臨場感のある展開に引き込まれます。写真が「寄っている」のも、すごくありがたい。ここが好きということが、伝わります。

圧巻だったのは、「トルクメン絨毯と「鍋島」」という記事。鍋島は好きで見ていましたが、トルクメン絨緞と共通性があるなんて、考えたこともありませんでした。でも、言われてみると、確かにそう、、トルクメン絨緞愛好家のMさんの「トルクメン名古屋同一説」を思い起こしました。

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(陶巡りから/鍋島/茄子皿)

男性は文様好き、女性は色好きという見方を聞いたことがありますが、Tさんの「すべての色に透明感があり、それでいて熟成されています」というような表現を見ていると、色への開かれた感受性に感心します。

同じキリムを見ても、その色だけで幸せになれる人と、なんの関心もない人がいるとしたら、なれる人の方が、そしてそのような「好きの世界」を持っている方が、人生がゆたかでしょう。

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「美しい世界の手仕事プロジェクト」は、そんな「好きの世界」と「好きの世界」が出会う場を作りたいと思ってきました。本業等もあり、なかなか活動はできませんが、ゆるゆるとでも続けていこうと思います。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2008/「インドシナの染織」展示より三角アップリケ)

そんな活動の一環として、「世界の手仕事WEB」が動き出しそうです。(客観的に書いてる場合じゃ、、、)
今では、インターネットは情報の受発信に欠かすことのできないメディアになっています。Jも最近「facebook」のおかげでウズベキスタンの人たちとの連絡がしやすくなり、世界各地の陶芸家の仕事と出会うなど触発されています。

手仕事はマイナーでニッチなものが少なくなく、個人メディアであるネットとは相性が良いと思います。
見えて来次第アドレスなどをお知らせしますので、手仕事WEBの方にも遊びに来て下さいね。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2008/「アフリカンデザイン」より草ビロード)

寒くなってきましたが、風邪にはご注意!see you!
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by kizashinoj | 2010-11-21 17:27 | 日々
しとしと雨模様、グンと寒くなりました。風邪などひかれてませんか?
J、現在ちょっと喉にきています。アツアツ生姜紅茶を飲んでいます。

さて現在、「手仕事フェスタ公式サイト」は、エスニカさんの奮闘によりリニューアル中です。
レポートを投稿できる仕組みなので先ほどトライしてみましたが、あえなく撃沈!
どうもMacって、いろんなものと相性が良くないんですよね〜。孤高、、って、違うか!(iPhone売れてメジャー♪) 何が原因だろう(哀)。

手仕事好きのたくさんの愛好者が交代で書く、多方面の話題を楽しめる、そんなWEBになるのではと思います。見えてきたらアドレスをご案内しますね☆

そんなわけで、今回も一人淋しく!?ブログに向かいます。
テーマは、工芸を世界に発信しよう、という青柳正規さん(国立西洋美術館館長)のご意見。

読後、当たり前なのでは?今さら?、、と一瞬思いましたが、ご専門が「古代ギリシア・ローマ専門、考古学者、美術史家」というわけで、そういう方の視点も見てみようかなとアップしてみました。

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(「薄瑠璃釉色絵唐花文皿 鍋島」/唐花を皿の回りの部分に展開する「湾曲構図」、唐花文は染付で輪郭をとり古九谷様式に近い濃い緑、黄色の二色で彩色。余白と色あいが粋!/『柿右衛門と鍋島 —肥前磁器の精華—』展(出光美術館)展覧会図録より引用)

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「日本のモノ 工芸の裏打ち 〜日本文化の質と技を戦略的に世界に発信」(日経新聞/要旨及び抜粋)

・ロンドンの大英博物館で日本の過去50年の陶磁器や漆芸などを紹介する「わざの美」という展覧会を見たとき、日本の工芸には世界に通じる力があると確信した。
・美術には、独創性、主題、技の3つの要素が必要だが、19世紀の印象派の台頭で創造性と主題だけが重視され、技は二の次になった。
・美術が王侯貴族のものから市民階級のものへと変化する中で手間ひまのかかる質が切り捨てられていった。現代美術が難しくなったのも思想や発想に偏ってきたからではないか。

・その点、数百年にわたり質の高さと技を築きあげてきたことが日本の工芸にとっての独創性になる。その美しさは誰にでもわかりやすい。
・日本がガラパゴスにいることを意識化し、日本の特殊性、世界との共通点をうまく利用して(海外へ)出ていけばいい。

・日本の工芸職人の強みは昔の技術や意匠をただ反復するだけではないこと。
・小さくしたり装飾を洗練させたりして工芸を少しでも現代社会にあったものにしようと現場で工夫を凝らす。
・私たちは茶碗を手に取って使うことで、たなごころに温かく触れる形への高い選別眼が自然と育まれている。

・工芸を海外で紹介することで日本製品に信用を与えることもできるのでは。
・年明けには羽田空港内に国立美術館の別館を作る計画を進めたい。
・19世紀後半ヨーロッパの熱狂的な日本工芸ブームに習いジャポニズム再興運動を進めたい。
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(「レバント戦闘図・世界地図屏風」・桃山時代/桃山時代(17世紀)の人たちが世界をどう見てしていたのかなあと想像させて楽しい/「BIOMBOの時代 屏風に見る南蛮交流」展覧会(サントリー美術館)図録より引用))

羽田に美術館、それっていいですね。賛成です!
ナイスな工芸をたくさん展示してくださいね。ワークショップなどもぜひ。体験が楽しいんですから。

最後に書いてある「ジャポニズム」について。
先日、森岡正博さんが、ヨーロッパでのアニメやマンガへの熱狂を目の当たりにして、「今こそが、まさにジャポニズム」と書いていました。
「これから再興運動」、なのではなく、まさに今巻き起こっているのだなあと同時代性を感じました。その感性の方が近い気がします。

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(東大寺大仏、蝶?なぜ?アート?!☆/コメントでご指摘あり。蝶は足が6本が普通。これって、、やっぱりアートなの〜!?それにしても足の数に肉眼で注目したbenijoさん、さすがです)

高い選択眼、というのは、プロジェクトをやっていて感じます。民芸世代も若い人も、見る目がある。ミドル世代はちょっと危うさも?(ブランド好き世代だから?)

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(道具もきりりとしています。左官屋さんのチリボーキ。手作り)

次回、記事はどこからアップ? もう、J、あっぷあっぷかも。。!?
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by kizashinoj | 2010-11-15 20:03 | 手仕事ニュース
美しい世界の手仕事プロジェクトのスタートと関わるお話が、日経新聞(11月5日)に載っていました。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2008ア「アフリカンデザイン」展示より/クバの布等、すべてコレクターにお借りしたものでした)

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「アートを支える人々 〜個人が収集、作家を応援〜 」(以下要旨及び部分的に抜粋)

・収入に見合った作品を購入して楽しむ市民コレクターが増えるとともに、趣味の枠を超えてアートを支える動きが目立ち始めた。
・他のコレクターや美術関係者と連携してコレクションを公開したり、特定の作家作品を持ち寄って個展を開くなど。
・コレクションを積極的に公立美術館に寄贈することを通じて間接的に作家を後押しする動きもある。

・新潟市の芸術文化施設砂丘館では、昨年から個人コレクターに光を当てた展覧会をシリーズで開催している。現在開催中(4回目)展示は、サラリーマンコレクターの現代アート展示。
・「個人コレクションは収集家の自己実現そのもの。個性がくっきりと表れるのが面白い」(企画者である砂丘館館長)。
・「購入によって作家を支えるこうしたコレクターを地域で増やすことが大事」と注目している。

・最初から寄贈を前提に現代アートを蒐集してきたのは横浜在住のあるご夫婦。
・「子どもがいないぶん、才能のある若い作家を支援して社会につながりたかった」。
・「公立美術館に作品が入れば作家の評価も上がる」と考えこれまで20年かけて350点の作品を集めほとんどを複数の美術館に寄贈してきた。
・「公立美術館は評価の定まらない現代作家の作品を買いにくく、評価が定まる頃には高価で買えなくなる。そうした作家はコレクターが作品を購入して守るしかない」。

・市民コレクターのコレクションは収集予算を削られて苦しむ公立美術館を助けるとともに学芸員の刺激にもなる。
・県からの収集予算がゼロになった岐阜県美術館は今も個人コレクターの寄贈や寄付金で収集を続けている。
・「作品収集は美術館活動の骨格であり、学芸員の研究の源。目の肥えたコレクターの真剣な収集品と格闘することで学芸力も向上し専門の幅も広がる」経済が停滞する中でも各地のアートフェアは盛況。コレクターのすそ野は確実に広がっている」(館長)。
・死蔵するより公開を望むコレクターは多い。彼らの力を生かすには「ニーズのある地域や美術館とマッチングするシステムづくりも必要だろう」(同)
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まさに!トライブさんはじめ、プロジェクトメンバーもそんなふうに考えてきました。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2008より/望月真理さんコレクション、カンタ一部)

2008年の第1回美しい世界の手仕事プロジェクトも、望月真理さんの工房で素晴らしいコレクションを見せていただいたのが、そもそものきっかけでした。
「こんなにパワーがある手仕事を一人でも多くの人に見て欲しい!」という気持ちで突っ走ったのです。

そしてプロジェクトの中で、
*日本にはすごいコレクション(私たちの関心ジャンルでは世界の手仕事、とくに西アジア、中央アジア、東南アジア、日本など)の所有者が少なくないこと
*それが公開されていないこと
*世代交代の中で、コレクションの行方が微妙なこと
を感じてきました。

このような傾向は、今後さらに表面化してくると思います。

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(先日のNHKアジアンスマイルで紹介された工房の大皿)

思い入れと審美眼の賜物であるコレクション、多くの人に、とりわけ若い世代の眼に触れることを、共感の波が生まれることを願っています。

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(美しい世界の手仕事プロジェクト2008シルクロード展示より/O氏コレクション、ミラーワーク一部)
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by kizashinoj | 2010-11-05 14:38 | 日々

ていねいなもの、思いがこもったもの、自由な精神があふれるもの、美しい世界の手仕事に、もっともっと出会いたい。


by kizashinoj