美しい世界の手仕事プロジェクト

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美しい世界の手仕事プロジェクトの始まり

例年より早い桜の開花予想がちらほらとではじめた今年の3月のある日、私は打ち合わせの場所である「ハウスクエア横浜」に向かっていました。部族絨緞を蒐集販売するSさんとパキスタン帰りのMさんもいっしょです。

住とインテリアの総合情報施設である「ハウスクエア横浜」のライブラリーは、住関連の国内外の書籍や雑誌が充実しており、しかも空間的にも広々としてゆったりしています。壁面は白です。スッキリしているのもいいのですが、何か飾って演出しても映える壁面です。

そこで、ハウスクエアのKさんの発案で、キリムなどの手工芸品、本物のきれいなものを飾ってはどうかということになり、打ち合わせに出かけたのです。Kさんとは長いつきあい。ミーハー感覚がナイスな女性です。彼女が「本物」を求めているというのはこれからのトレンド、「兆し」の指標。心強い、そして、うれしい!

ライブラリーに隣接したスペースや小部屋での展開も考えているうちに、Kさんが2階に向かいました。(事情の詳細は省略しますが)そこには、広い空間がありました。聞けばなんと150坪!フローリングとコンクリート打ちっぱなしが半々の面白いスペースです。「これを、、?」。

そうです。この空間が、今回期間限定で、世界の本物、きれいなもの、手仕事を展示することになったスペースでした。その後の経過の詳細は省略しますが、結論=「期間限定だが、来場者や地域の皆様に、本物を紹介する機会作りとして、空間活用OK」とうことになりました。ありがとうございます〜!


Sさんは「コンステレーション(CONSTELLATION)」というコンセプトを考えていました。「星座」「美しいものの集まり」「配置、布陣、型」「心理精神分析のことばで、刺激布置(まとまりを持った刺激の配列)、布置(ある概念を中心とする思考や感情のグループ)」などの意味があるそうです。

これについてSさんは、河合隼雄さんの「コンステレーションとは一種の示唆であり、気づかせなのである」「ユング心理学では心の中の状況と外的に起こることがうまく合致して、全体として何かが星座のようにまとまることをコンステレーションと呼んで大切に考えている」という言葉も紹介しています。


こうしたなかで、「第1回の企画は、バングラデシュのカンタでいこう」、手仕事プロジェクトの打ち合わせのなかで、それは自然な合意でした。

4年前の夏、その年の夏も暑かった。Sさんをはじめとする絨緞好きの仲間たちとおとずれたのは、福島・いわきにある望月真理さんのお宅兼アトリエの古民家でした。竹やぶのある庭と縁側の広い古民家、いい感じなんですよね〜!

刺繍家である望月さんは、インドや雲南をはじめとするアジアの刺繍や布のコレクターでもあります。ふと通りがかりに発見して一目惚れした古民家を長い交渉を経てアトリエにしたのが望月さん70代の頃。たとえ背負われても、布を求めて雲南の崖もよじのぼって行きます。でも気負っているわけではない。自然体の行動力という感じです。

夕食は、先生のお弟子さんたちや地元の方々が、手作りのおいしい料理、いわきならではのお惣菜を持ち寄ってくださいました。新鮮な魚や野菜が、もうとびきり美味しくて、飲んで食べて語りました。(私たちが作ったのは、自称「トムヤムクン」、実際「ヤミ鍋」)。

花火でも盛り上がりました。子どもみたいに大騒ぎ。座敷に布団を敷き詰めて寝たのも楽しい思いでです。


そして次の日、待望のコレクション拝見。、、、圧倒されました。素晴らしいコレクションでした。とても全部は見られず、一部だったのですが、拝見したもののなかにバングラデシュのカンタがありました。

カンタ、、見たことはありました。素朴な民衆の刺繍という印象を持っていました。

望月さんのカンタも、同じように素朴で、手仕事のあたたかさがありました。でも、それだけではない、なにかとてものびのびしたものを感じたのです。どこか「突き抜けている」感じというか、、。

のびのびと描かれた自然や人々、ユーモラスでゆったりした感じ、チクチク刺繍を楽しんでいる様子。でも、そのおおらかさのなかに何か強いものがある。根本的な姿勢、視点のようなものがある。

とらわれず、ものごとを受容していく強さ、人生を肯定するたくましさ、否定しないあたたかさ、ユーモアで何かを乗り越えていく感じ。ほんわりしたテイストのなかに潜む駆動感や突き抜け感。自由、自由だと私は思いました。精神が自由なのだと思いました。

数あるカンタのなかから、望月さんが惹かれたもの、望月さんの眼が選んだもの。望月さんの個性、生き方と波動が重なり合うもの。セレクトされたカンタからあふれる、おおらかで自由な精神のありように、蒐集とはこういうことなのかと思いました。

そして、このカンタをたくさんの人に見て欲しいと思いました。とくに若い人に。将来に対する漠然とした、しかし強い不安。そのなかで閉ざし、受容せず、萎縮してしまった若い人たちに見て欲しい。もっとのびのびと開いて欲しいと思いました。

美しい世界の手仕事プロジェクトは、こうして始まり、怒濤のような準備の日々に入っていきます。
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by kizashinoj | 2008-06-03 21:00 | 08年始まり&準備日記

ていねいなもの、思いがこもったもの、自由な精神があふれるもの、美しい世界の手仕事に、もっともっと出会いたい。


by kizashinoj