美しい世界の手仕事プロジェクト

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スーパーテクのポップな工芸を楽しむ@工芸館

もともと私Jは、美術とも工芸とも染織とも無縁の人生を歩いてきました。とくに日本のものには、ほとんど関心が向かいませんでした。
それが変わってきたのは、旅行や音楽を通じて興味を持ち始め、しだいに夢中になっていったイスラム建築(とくにタイル)や工芸、染織と出会ってから。
インドや西アジアや中央アジアのきれいなものを見ていくにつれ、日本ってどうだろうと振り返るようになり、自然に自分なりに比較したりもするようになりました。
最近はとくに、日本のものをよく見るようになっています。

Jの本ブログ「イスラムアート紀行」を現在休止しているのは、第1にはイスラム工芸をスタディしきれずまったく本が読めていない。たまる一方の本を何とかしないとどうしようもなくなったことがあります。
また結果、日本の話題が多くなってしまい、タイトルとそぐわないと思ったこともあります。
日本のことはこちらに主に書いて、イスラムアートに焦点を合わせる方がいいのかもという気持ちもありました。

そんなわけで、こちらでは気軽に日本の美術館のことも書いています。

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(展覧会チラシ)

東京国立近代美術館工芸館の『現代工芸への視点 装飾の力』は、今の私にとって、とても興味深いものがありました。

・・・ 「装飾に対する意識の高まりは、日常生活の中でも強く感じられ、さまざまな現象としてみることができます。身近なところでは、デコ電やネイルアートなどがその代表的なものと言えるでしょう。この現象は、個性を表現する工芸制作の中においても見られ、とくに近年、大きなうねりとなりつつあります。
ところがこうした動きは、実は、いまに始まったことではなく、縄文時代中期の火焔土器に見られる器体を飾る激しい造形や、桃山時代の絢爛豪華な意匠、明治時代につくられた器物に動物や植物を貼付けた輸出工芸品など、脈々と受け継がれてきています。
そして今日においては、過剰なまでに装飾を施し、作品というと立体を飾るためというよりも、まるで装飾するという行為そのものが目的になって立体を構築し、個性を打ち出している工芸作品が、盛んに作り出されています。
こうした作品からは、素材との密接な関わりを通じて、人と「もの」との原初的な関係を回復しつつ、新たなアプローチを模索しているかのような気配が感じられます。
本展では、装飾をひとつのキーワードとして、現代に生きる工芸に受け継がれた日本人の美意識をあらためて感じ取りながら、21世紀における工芸制作と表現活動の可能性を探ります。」・・・

なにしろ出展している作家さんが若い!20代、30代。
陶芸、漆、ガラスなど、いかにも日本の工芸。
ところがテクニックはスーパー!超細密です。
なんですか、この技量は、、!?

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(植葉香澄。キメラ、2009年)

模様は日本の伝統的なものが多く、配色もよく見れば多くが日本の伝統色です。
だから馴染みやすい。
でも、ポップpopなんです。
模様と色が日本の伝統なのに、すっごくポップに見えるのはなぜ?、、何が違うのかな、と見ていましたが、どうも造形が違うような気がしました。
オブジェだからかな?

普通、日本の工芸といえば、皿や鉢や壷や箱や衣装。
それが実際に使用されなくても、そのようなカタチをしています。
そして虎なら虎。百合なら百合。そのなかで技と匠を発揮しているような気がします。

今回の装飾の力では、それがないんですよね。
まさに装飾。

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(染谷聡。幼少期インドネシアに居住。そのときの影響があるとことです)

そして、基本は自分のための装飾。(人に見せるための装飾でも、根本は自分の表現)
王様やパトロンの好みに合わせる必要もない時代。といって、時代の寵児になり有名になりお金持ちになり、、そんなことも目指していない感じ。
作りたいから作っている感じ、が、ありありとしました。
たぶん、ものすごく楽しいのだと思います。
実際、作家さんのコメントの中には、夢中になる、好きでたまらない、自分の表現、といった言葉がありました。
とってもわかります。これ。

しかし、展覧会のテーマであり、新聞等で評されていた「過剰性」については、ピンときませんでした。
日本ってこんなんじゃないの、と思います。
昔から。伝統ですよね。
「デコ電」やネールアートとの関係づけもどうかなあ。

見ながら浮かんだ言葉は「元禄」。(想像力&ボキャブラリー不足!?)
文化の爛熟と、個人が自分の満足へひたすら向かうエネルギー、それを最も感じました。

おっと、爛熟、嫌いじゃないの?と言われそう。
そうですね。私最大嫌いなのは、退廃的な爛熟です。バロック最悪。日本の女性に人気のビクトリア朝なども私には意味不明。

今回の展覧会で感じた爛熟は、私好みのもの。生命感があったんです。
土好きの視点かもしれませんが、土で作り焼成するところに現実感があるような気がします。

怪獣のようなキメラ、好きでしたね〜。&話題になった「ティーカッププードル」も貴族テイストをポップに描いているのがおもしろかった。
日本の未来も大丈夫じゃないか、と思ったくらいです。
技量を惜しみなく発揮し、イキイキとしている若い作家さんたち、良かったですよ!
今回は図録を買わなかったので(写真がイキイキしてなかった。残念)写真がないのです。が、チラシのものは私が好きだったものとはちょっと違う。もっといいのがたくさんたくさんありました。

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(十四代今泉今右衛門。個人的には他の作品がより好きでしたがチラシ掲載はこれでした。素晴らしいですね〜!!)

なかでも最高に好きだったのは、十四代今泉今右衛門氏(1962年生まれ)の磁器。
「墨はじき」という白抜きの技法。清楚で気品があり凛として優雅。
鍋島のセンス!最高です。

さてさて、春に向けて、サントリー美術館の「おもてなしの美 宴のしつらい」、出光「麗しのうつわ 日本やきもの名品選」、新国立「ルーシー・リー展」、「近代工芸の名品 花」(近代美工芸館)など、見たいものが目白押し。
今年も歩きますよ〜!

あ、手仕事プロジェクトも動くかもです。
またご案内しますね。

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(御香宮神社破風。絢爛ですね〜。/『日本の配色』(ピエブックス)より引用)
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by kizashinoj | 2010-01-08 22:58 | ミュージアム・展示会

ていねいなもの、思いがこもったもの、自由な精神があふれるもの、美しい世界の手仕事に、もっともっと出会いたい。


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