美しい世界の手仕事プロジェクト

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みちのくの古布のこと@アミューズミュージアム

浅草に11月オープンした「アミューズミュージアム」に行ってきました。
浅草寺に隣接した古い6階建てのビルを丸ごとリノベーション。日本の文化、美や技術を紹介するライブ感覚のミュージアムだそうです。
音楽ビジネスで有名なアミューズによる企画運営ということでメディアで時々紹介されていましたが、新鮮な切り口、期待したいですよね。

ビル自体は雑居ビルという感じ。ちょっと意外。中に入るとさすがに洒落ていて、1階には和グッズのギフトショップやカフェもありました。
なかなかカッコいい空間だったので、「写真撮っていいですか」と聞くと、「ご自由にどうぞ」とのこと。スタッフの方々も感じよかったです。

お茶は後回しにして、グラフィックデザインが施された階段を上がり2階へ。すると、、ドカ〜ンと「BORO」のロゴ!そして「ボロ」をまとったレトロなマネキン!

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な、なんだ、と思っていると、学芸員さん的な女性がやさしい感じで登場。「写真を撮ってもいいこと、布に触ってもいいこと」を伝えてくれます。
エンターテインだ〜!さっすが〜!
写真を撮ってよく、布に触っていい美術館って、私たちの「美しい世界の手仕事プロジェクト(2008)」以来かも!? (*^_^*) きっと気持ちは同じ。「ライブミュージアム」だもんね〜、と、ひとり心の中で意気投合。

企画展は「布を愛した人たちのものがたり」。「世界初公開展示 国指定重要有形民族文化財 津軽刺し子着物」と「奇跡のテキスタイルコレクション BORO」の2つの企画を一気に展示するという太っ腹。タイトル回りが広告っぽいのも、ミュージアムらしくなくておもしろいです。

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今回ご紹介するのは「奇跡のテキスタイルコレクション BORO」です。

こみあげるようなものがありました。とても美しい布たちでした。そんなに昔でもない日本のこと、知らなかった私。触ってみました。身につけた人たちのことを考えました。

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「これらのコレクションは、民俗学者・著述家の田中忠三郎氏が40年以上に渡り、民俗学の研究のかたわら収集してきたもので、寺山修司や黒澤明、都築響一らがその美しさを絶賛し、作品制作のために借用するなど、学術的価値はもちろん芸術的価値の高い稀有なコレクションとして知られています。田中忠三郎氏は、「庶民の衣服が重要有形民俗文化財に指定されたのも画期的なことだが、これら衣服はどれをとっても無駄がなく美しい。それは布を織った、そして刺し綴った人々の想いと愛情、人柄がしのばれるからです」と語っています」(ミュージアムWEBより)

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「田中忠三郎コレクションの中には、江戸時代から何代にも渡り、青森の山村、農村、漁村で使われてきた“ぼろ”と呼ばれる衣服や布類が多数あります。現代のキルト、パッチワークのようにきれいなものを作りたくて作ったのではなく、そのときにあるものを重ねていき、寒さをしのぐために少しでも暖かく丈夫にしたいと、つぎはぎを重ねて大切につかわれてきたそれらぼろ布類は、今あらためて見れば、そのままイタリアやフランスのハイファッションになりそうな完璧なデザインです」(ミュージアムWEBより)

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本を買いました。『物には心がある 消えゆく生活道具と作り手の思いに魅せられた人生』(田中忠三郎/アミューズエンタテイメント)と『みちのくの古布の世界』(田中忠三郎/河出書房新社)。

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〔人間が生活していくのに必要なもの、あるいは生活そのものを指して、我々はそれを「衣食住」と呼ぶ。どうして「食」でも「住」でもなく、「衣」が最初にくるのか。20代から30代の前半まで、遺跡の発掘に明け暮れていた私は、何度も凍死寸前の、体の芯まで凍えるような寒さを経験して、「衣」が人間にとってどれだけ大切なものであるか身をもって知った。真冬でも人間は数日程度なら食糧なしでも問題なく生きていけるが、衣服なくしては一日たりとも生きていくことは不可能だ。かってこの地に生きていた人々は決して布や衣類を粗末にしなかった。丹念に刺し綴った着物をまとい、日々を精一杯に生きた。その根底には、先祖がさんざん味わってきた寒さに対する恐怖があったからではないか。その恐怖から身を守ってくれたのが、「衣」であった。つまり、衣服は生命そのものだったのだ](『物には心がある』)

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〔祖母は布をとても大事にする人だった。私が幼い頃にいたずらに布にはさみを入れると、厳しい顔で「肉を切るのと同じことだ」と叱った。それほどに衣と布は、人間にとって大切でかけがえのないものなのである。布には生命があり、祈りが込められていた](『物には心がある』)

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〔当時の人々が布を大事にしたのは、単に物が不足していたからではない。そこに大いなる意味と価値を見いだしていたからこそ大事にしていたのだ](『物には心がある』)

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このミュージアムと展示については、いろいろ書きたいことがあるのですが、長くなってしまうので回を分けようと思います。というわけで、次回に続きます。
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by kizashinoj | 2009-12-22 22:22 | ミュージアム・展示会

ていねいなもの、思いがこもったもの、自由な精神があふれるもの、美しい世界の手仕事に、もっともっと出会いたい。


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